美味しい食べ物の事を考えるのはとても大切で、しかもそれを生業とするならば当然なんですが。
若かった頃は技術や知識を受け継いだ事その物を消化するのに精一杯でした。


写真は紅玉と薩摩芋のタルト。それに添えたのは紅玉・カベルネソーヴィニヨン(房の状態)・スダチのソルベ。


物事(経験や学び)とは単純で得るものなので蓄積されますが、それらをアウトプットしなければ溜まる一方な訳で。
さて、でもどうやってインプットした事を効率的にアウトプットして行けば良いのか?
僕にとってインプットの殆どは基本的なフランス料理の技術や知識。もちろんこれだけでもコスパの高い美味しいフランス料理店を経営していく事は可能でしょう。
20年前はそう考えていました。

例えばリンゴのソルベを作るならシロップ+リンゴのピュレ+αで美味しいソルベを作れますが、これがインプットした技術や知識を駆使した普通の考え。
もちろん美味しく食べて貰う為に得た物ですし無駄も無いのです。

じゃあその技術や知識を使ってもっとリンゴらしさとかを表現出来ないのかな?と思う所から始まるのがインプットした人の特権でもあり素材に向き合える瞬間なのです。
色々と整理整頓していかなければ得た物を有効に使えないと思うので兎に角考える。。。
リンゴのソルベを作る事は決まっているのに兎に角考える。

で、何を考えるのか?



それはもちろん紅玉の香りを最大限活かす方法。
さすがにコレは誰からも教わっていませんからね。考えるしかない。


思い付いたのが先ずリンゴの香りを非加熱で抽出する方法。水分が足りないと充分な生リンゴの香りを抽出出来ないのでたまたまお客様からいただいた摘みたてのカベルネソーヴィニヨンと仄かな酸味を加える為に鈴木農園のスダチを加えました。

青梅を漬ける要領で氷砂糖でゆっくりと抽出します。
紅玉は香りが出やすいように皮付き。カベルネソーヴィニヨンは指でブチュブチュ潰して。スダチは皮をすりおろして果汁と共に。

水分と香りが氷砂糖と共に溶け込むまで時間はかかりますが、思い描いていた爽やかなリンゴの香りシロップを作ることが出来ました。このシロップは加熱したら駄目というか意味が無くなってしまいますから漬け終った後の紅玉だけを取り除きシロップを一部拝借して柔らかく煮ます。

これでリンゴのピュレが出来上がり、香りが詰まった非加熱シロップを加えソルベに仕上げます。

僕にとっては凄く斬新(笑)

見た目は平凡ですがっ!


学んだ事を更に良い料理やお菓子にする為には基礎が大切です。
まあ、でも時には常識すら疑う程考えたりするのは楽しい事だと思います。

作り方は誰でも知っている訳だし、やるべき事はその先にまだまだ可能性があるんだなぁ〜と気付く事。僕にとってこの取り組みは素材と向き合う事によってどうすれば美味しくなるのか?を実践してみたらやっぱり良いよねと、ひとつ賢くなったかもね?と思うだけ。その程度の事なのです。

つまり色々と整理整頓して行かなければ受け継いだ技術や知識を僕自身消化出来ない恐怖が常に付き纏わっているんですよ。

職人というのは何処でその経営と探求のバランスをとるのか?
何れだけの時間を使うのか?

ここら辺が個人差でもあり個性と言われるものなのかな。。

ほんと20年前はリンゴのソルベひとつにここまで深く時間を割くことは有りませんでしたよ。



今回は頂き物のカベルネソーヴィニヨンを使いましたが、1つの素材を活かす方法を知りました♪
色々と応用出来そうな予感してますっ!!(笑)


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コメント
いつもありがとうございます‼
ま、まさか、そのカベソーはMr.Tのもとで育ったアレですか?
  • by うち
  • 2015/11/05 12:25 PM
はい、アレです(^.^)
  • by マルセル
  • 2015/11/05 4:02 PM
売り切れないうちに伺います♪Mr.T聞いたら泣いて喜びますよ(笑)。
  • by うち
  • 2015/11/05 5:40 PM
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